日銀は誰のものか
1998年から2002年まで審議委員を勤めた中原さんの回顧録。就任から退任までを時系列で書いていてわかりやすい。ただ、ところどころに日銀の独立性や組織のあり方を言及した箇所はあるものの、タイトルから予想される内容を期待すると肩すかしを食らう内容だった。
![日銀はだれのものか 日銀はだれのものか](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/5127985CZYL._SL160_.jpg)
- 作者: 中原伸之,藤井良広
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2006/05/01
- メディア: 単行本
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中原さんは、日銀内でも早い段階から量的緩和政策を唱え、ゼロ金利解除時にも反対するなど独自の経済観を持っていた人であり、この本を読むと彼が当時何を考えていたのがわかる。多少、我田引水な感じもしないでもないけど、量的緩和策の導入は彼の功績によるところが大きいそうだ。その裏には、バーナンキやフリードマンなど錚々たる学者とのやり取りがあったことがわかる。ところどころに、他人(政治家や政策決定会合のメンバーなど)の悪口とも思える箇所があるのが気になるけど、それもまたこの本の面白さかな。
理論的な話はなく、日銀や政府の人間模様を楽しむ本です。
以下、メモ。
- 「マッカラムルール」
- 「未来の総裁候補は早い段階から決まっている」とあった
- 量的緩和は実際のところ効果はあったのだろうか?その辺の検証がこの本にはない。
- 日銀のあり方は、継続して考える。行政か?独立性とは?目的独立、手段独立。
- 日銀マンは、「欲が小さい」ということが書いてあった。「小成に安んじている」と。人材育成制度がしっかりしていないことが、一つの理由であるそうだ。