「ゼロの焦点」の感想

早速、ゼロの焦点を読んだ。
途中から何となくオチが読めてしまった。十分な証拠や確証があった訳ではないが、動機を考えていくと、候補となる人物が一人しかいないんだもん。
そして、驚くようなトリックがあるわけでもない。
加えて、「解説」で平野氏が書いているように、謎解きに十分な複線が提供されているわけでもなく、推理小説としてはイマイチと評価せざるを得ない。
秋に公開する映画は、いったい、この小説をどのように料理しているのだろうか。映画化するのは、かなり難易度が高めだと思う。

ゼロの焦点 (新潮文庫)

ゼロの焦点 (新潮文庫)


個人的には、主な舞台となる金沢など石川の描かれ方に興味を持って読んだ。
小説の中で、石川は「陰鬱さ」を演出する舞台として使われている。冬の曇天、雪、荒々しく黒色の日本海
事件の暗さを暗示あるいは増幅させるには、十分といった感じ。


金沢には、まだ一年しか住んでいないので、はっきりしたことは言えないが…
金沢の天候の悪さは、たしかに気分を落ち込ませる。今の時期は、梅雨かと錯覚するようなムシ暑さだし、雨も多いし。冬は、曇天の日が続き、雪も多い(最近、少なくなってきたらしいが)。
福島や東京にいたときは、春の訪れにそれ程の喜びは感じなかったけど、金沢で春の訪れを感じたときは、それだけで毎日気分よく過ごせた程。
年をとって四季に移ろいに感じやすくなったこともあるのかもしれないけど、同期も同じことを言っていた。
金沢は街はいいとこなんだけど、唯一、天候だけが残念なとこ。金沢の冬をもう一度…って、考えただけで少し憂鬱な気分になります。
そうい意味で、清張が舞台として石川を選んだのも頷けます。いや、ホント、いいとこなんだけどね、金沢は。天気を除けば。。


次は、何を読もうかな。ちょっと検索してみたら、http://www2.ocn.ne.jp/~byuhaiya/taiken.htmlというページが出てきたので参考に。
やはり、金沢三文豪の小説か…はたまた、井上靖の「北の海」か。
むむむ。。