茶碗の美展 ―国宝・曜変天目と名物茶碗―

憧れの曜変天目を観に、昨日は静嘉堂文庫美術館に行ってきました。黒地に青や黄の斑が光る曜変天目は、まるで茶碗の中に小宇宙があるかのような神秘的な茶碗です。

高校くらいのときに新聞で特集を見たときに、心奪われてしまいました。しかも、製法がわからず、現存するのは世界で3個というとても貴重なもの。
静嘉堂文庫のものは、その3つの中でも一番の美しさだと言われているそうです。3年ぶりの公開みたいで、今回見れてとてもラッキーでした。
曜変天目の他にも、唐物、高麗物、和物に分けて、それぞれ展示があり道具のお勉強になりました。。

曜変天目

生でみた曜変天目は、思っていたよりも小ぶりな印象を受けました。写真をみたときに感じたような、圧倒的な存在感は…正直なかったかな。斑模様も思ったより艶がなく、静かな印象を受けました。もっと感動すると思っていたんだけどなぁ…美しいのは間違いないけど、我を忘れ、時を忘れて見入るような美しさは感じませんでした。
写真の曜変天目が美しすぎるってのが、その原因だと思います。人でも写真写りがよくて、実物みるとガッカリすることありますよね。笑
稲葉天目は、写真写りが良いヤツなんだろうな。実物を見るまで、あまり過剰な期待をしすぎるのは良くないということを学びました。
思えば、仏像とかでも同じことが言えるよな。写真写りの良い仏像と悪い仏像ってあるもんね。写真は、現実を映しているわけではないんだね。

高麗物は好みじゃない

高麗物は、元々、朝鮮半島で日常的に用いられている茶碗を茶道に取り入れたものです。とても素朴な形態(ほとんどが井戸茶碗?)をしていて、色と質感も地味なものが多かったです。なんとなく、「わびさび」っぽいから使われたということは理解できるけど、あまりにみすぼらしく感じられる茶碗でした…「わびさび」の境地への道のりは厳しい??
上級者があーゆう茶碗を使えば、お手前の綺麗さや精神性が引き立ち、茶碗にも味が出るのかもしれません。でも、僕みたいな初心者が用いたら、単にみすぼらしい茶碗にしか見えないように思います。

楽茶碗

楽茶碗は利休が茶道のために作らせた茶碗です。たぶん、茶道と聞いて多くの人が創造するあの茶碗です。
サンプル画像

楽さんが作っているから、「楽茶碗」。今回は楽家初代から、十三代までの茶碗が並べてありました。
黒楽茶碗なんて、皆似たようなもんだと僕は思っていたんですが、並べて展示してあったおかげで、それぞれの代によって作風が異なっていることがわかりました。
こういう微妙な違いがわかるようにならないと、数寄者にはなれないのでしょうね。昨日の夜、偶然、楽家十五代当主の番組がやっていて、そのコダワリと妥協のなさには驚かされました。僕もお茶をやっている以上は少しでも、美に対する意識を高く持っていきたい。

その他

  • 遠州好みの茶碗がきれいだった。明るいもののほうが好きだなー。
  • 天目茶碗の形はキレイだけど、ちょっともっさりしている印象がある。下の方が。
  • 自分で買うならシンプルな茶碗がいいと思った。飽きないで使えるから。やっぱり、凝ったのは飽きそう。