能楽はコンセプチュアルアート。

金沢市能楽堂の「能って何?」という企画に行ってきました。
能楽協会が若い人など能になじみのない人向けに、解説付きで能の舞台を見せてくれるという触れ込みだったので、全く能を知らないながらも気軽に行くことができました。
能の「冷え枯れる」の精神は茶道の「わびさび」の美意識に大きな影響を与えているとどっかで聞いたため、能には何となく興味があったので良い機会でした。


楽器や舞台装置や衣装などの基礎の基礎から大変わかりやすく説明してくれて、そのあと、「船弁慶」という曲(?)のダイジェスト版を演じてくれました。
説明の中で、能楽は日本版のオペラみたいなものと言ってましたが、オペラの過剰とも言える表現に比べて、ミニマルな演技や舞台装置だからこそ、ストーリーに没入できることもあるんだと実感。
動きや表情がない分、想像力がかきたてられました。
オペラはオペラで迫力というかパッションがありますけどね。具体か抽象かってとこでしょう。
船弁慶には、静御前義経の別れのシーンがあるのですが、まさに能面をかぶった静御前の悲しみがひしひしと伝わってきて、息がつまりそうでした。


今回は表面的な理解にとどまり、「冷え枯れる」の精神はよくわかりませんでしたが、たしかに、ミニマルかつコンセプチュアルなところは茶道の美意識と似たところはあるなと思いました。
とても面白かったので、また観にいきたい!
…なんて思っていたら、帰りに寄った片町の鮨屋で、偶然、小鼓を打っていた方の隣の席になり、色々話を聞くことができました。
わが故郷福島でも、能は結構盛んでお弟子さんも何人かいらっしゃるとか、能面はタブノキからできているとか…
そんなこんなで、ますます能に興味津々になってしまいました。
東京に戻っても、定期的に能を見に行こうと思います。