根津美術館に行きました

昨日、叔母に勧められ、10/7日にリニューアルオープンした根津美術館に行ってきました。
日本美術を収集した美術館らしくエントランスから和を感じさせる作り。
設計は、隈研吾さんらしいです。



根津美術館は、展示品もさることながら建物と庭が良かったです。庭はまさに、青山の大都会におけるオアシス。一周をのんびり歩いたら、30分くらいはかかるんじゃないでしょうか。庭のあちこちに、仏像などもあって良い感じ。アートな気分に浸らせてくれます。
庭にあるカフェが激混みで入れなかったのが残念。



展示の方も、仏像から日本画、茶道具の名品と十分すぎるほど楽しめた。今回の展示のメインである国宝「那智の滝」図は、あまりピンとこなかったけど…
それを補ってあまりあるほど、良い作品がありました。
その中でも気になったのは、まず、野々村仁清作の茶壷。仁清さんは、京焼の始祖と言われる人で、その作品はとても色彩豊かなのを特徴とします。
今までは、仁清の作品はそのカラフルさゆえ、毒々しささえ感じていたんですが、今回みた茶壷はカラフルながらも夕暮れの色を中心とした優美な色合いでとても美しかったです。


自分はどちらかというとシンプルでミニマルなもの、あるいはストイックさを感じるものが好きだったため、仁清の作品を美しいと思った自分に驚かせられました。仁清の作品には、ストイックさは微塵もないと言っていいと思います。茶道でいえば、黒が大好きでストイックな利休の「侘びさび」よりもより大衆的で華やかな遠州流の「きれいさび」的な作品です。
自分の美学をどちらに求めればいいのか、考えさせられました。家具やファッションなど日常生活の様々なものを調和させる中心をどこに求めればいいのか?わびさびときれいさび。。
この問題は、美的な価値観のことながら、もっと大きな人生の価値観と絡んでいる気がします。
ストイックな人生と快楽主義的な生き方。
自分は今ままでストイックにやりすぎていたような気がしていて、人生を楽しむという視点が欠けていたと最近気が付きました。
そうした心境の変化が、仁清の作品を美しいと思わせたのかもしれません。


他に気になったのも、やはりお茶関連で、千利休作の象牙茶杓。表面がつるつるしていて、わびさびとはかけ離れた趣。当時も高級品であっただろう、象牙を使用した茶杓を作っていた利休…わびさびとの矛盾を感じてしまいましたが、彼の中では一貫していたのか、それとも誰かの要請でいやいやながら作ったのか。
うーむ。。わびさびを提唱しながらも、いわゆる「綺麗」なものも好きだったのかなぁ。


一貫した美意識を持つのは難しいということなのか。。