ポストマネタリズムの金融政策

日銀出身エコノミストの手による本。金融政策に対する理解が、実務的にも理論的にも曖昧なので手にとってみました。具体的には、金融政策は、マネーの量を狙うべきなのか金利なのかとか、なぜ、公定歩合をやめたのか、とか。

ポスト・マネタリズムの金融政策

ポスト・マネタリズムの金融政策

フリードマンを代表とするマネタリズムの議論の紹介から、最近、各国中央銀行が参考にしていると思われるテイラールールの登場まで、その歴史的変遷がよく分かりました。日銀出身だけあって、リーマンショック前のアメリカ主流派経済学者や、バーナンキなどの政策当局者の強気っぷりが、一気に崩壊していく様など生々しい逸話なども織り込まれており、面白く読めました。


リーマンショック後の金融政策の課題は、金融政策はどこまで金融面、信用面を考慮して行うべきかという点です。それまでは、物価の安定こそが経済安定の十分条件だということが信じられていたそうですが、住宅バブルの崩壊により、その神話が崩れています。金融面を考慮した金融政策やプルーデンス政策は、今のところ手探りで、学界、政策当局者が盛んに研究しているところだそうです。
そういえば、先日、日銀からも金融面を考慮した経済モデルに関するレポートが出ていたような。


いろいろ書きましたが、ポストリーマンショック後も含めて、日本銀行など中央銀行が、どういう理論的背景のもと、政策を行ってきたのかを知るには大変よい本だと思います。池尾先生の本で、おすすめされていた白川本は、分厚いし、実務的な話も多く、ややマニアックなので、金融政策の入門書としては、こちらがオススメです。

現代の金融政策―理論と実際

現代の金融政策―理論と実際