宝島社の「特権階級」と「黒幕」の本を読む

宝島社のムックを文庫本にしたもの。タイトルほど扇情的な内容ではなく、それなりにしっかりした本だと感じた。ただ、その分、過激さや踏み込んだ内容ではないので、週刊誌的な野次馬根性でこの本を読むと物足りなさを感じると思う。
この2冊は、かぶっている部分もかなりあるが、「特権階級」は主に政官財やメディア、芸能など表のパワーエリートに焦点を当てたものであり、「黒幕」は裏の実力者たちにスポットを当てたもの。後者では、「特権階級」で扱われていないヤクザやフィクサーと呼ばれた人々についても書かれている。

知られざる日本の特権階級 (宝島SUGOI文庫)

知られざる日本の特権階級 (宝島SUGOI文庫)

日本の「黒幕」200人 (宝島SUGOI文庫)

日本の「黒幕」200人 (宝島SUGOI文庫)

両者で扱われている人物は、既に亡くなられている方が多かった。そのため、今の日本に特権階級は存在するのかどうか、いるとすればどこにいるのかが読後もよく分からなかった。
政治の世界ではいまだに世襲が多いが、彼が特権階級かと言われると、僕は既にそうではなくなっていると思う。政界サラブレッドである麻生、福田、安倍、そして、鳩山と世襲議員による内閣が続いたところまではよかったのかもしれないが、彼らは権力を全く維持できなかった。また、官僚についても怪しいところ。メディアの執拗な官僚叩きなどもあいまって、優秀な学生の多くは官僚を目指さなくなっているし、官僚になる旨みなど、ほとんどない。そして、財界においては、「特権階級」の中で、「もはや財界に大きな力を持つ家柄はトヨタ家くらい」と書かれている。裏社会のほうも、島田伸介の一件に象徴されるように、ヤクザなどに対する風当たりは厳しくなる一方だし、どうなんでしょうか。

日本の権力、利権構造については大変関心があるので、今後も勉強を続けたいと思います。