デフレとインフレ

5/4日の日記で次に読みたいと言ったきりでしたが、実は、とっくに読み終わってました。
物価の知識よろしく、コンパクトに物価の変動要因やコストについてまとまっていましたが、定性的なお話にとどまったものが多く、わかったようなわからないようなといった状況は脱せず。
先日も書いたとおり、問題意識は、(1)デフレは本当に悪なのか、(2)なぜ日本はながらくデフレなのか、というものです。これらを解決するほどの知識は得られず。
(1)については、ゼロ金利制約とあいまった実質金利の上昇、実質債務残高の増加という経路を通じて、企業の設備投資を抑制するということは分かるんですが、一方で、デフレ解消した場合、長期金利の上昇という副作用があり、日本のように政府債務が大きい国にとってはマイナスなんじゃないかと。よく分からないのですが。。ゼロ金利制約の影響とか、定量的に図るのは、なかなか難しそうですね。
(2)については、最近、日銀から日本の長期デフレに関する論文が出ていました。暇をみつけて読んでみようと思います。ただ、(1)に関する議論はないので、それは別途調べる必要がありそうです。

デフレとインフレ (日経文庫)

デフレとインフレ (日経文庫)

近況

  • 最近、引越しなどプライベートがだいぶバタバタしているため、更新が止まってしまいました。新居は、上京10年にしてはじめて、東京駅より東側。いわゆる下町の方です。教育的な観点と海抜の低さを除けば、住むには非常によいところだと思います。
  • 私生活の忙しさと英語の勉強などに時間をとられ、なかなか本を読む時間はとれてませんが、近頃は、経済統計と金融に非常に興味があります。これまで、マクロ経済、国際金融ぐらいしか、まともに勉強してきませんでしたが、両者とも非常に面白いです。
  • 経済統計を勉強していて気づかされたのは、経済分析の精度の上限は統計が決めているということです。日本のデータでは、いろいろな推計がうまくいきませんが、この理由の一つが統計のまずさだと思います。この頃は、内閣府のしたに統計委員会ができたり、経済センサスを実施したりと少しずつ改善は図られているようですが、まだまだ道のりは険しいと思います。経済統計の中でも、特にSNAと物価統計を中心に勉強したいと思っています。
  • 金融、というと余りに広くて漠然としていますが、金融が実体経済に与える影響や、マクロプルーデンス的なことに関心があります。リーマンショック後は、日銀も含めて国際的に注目されている分野ではありますが、本来自分が興味があったのは、この辺りだということを思い出しました。金融は実体経済に奉仕すべきだというのが、僕の昔からの考えです。

「街道をゆく」を読みました。

職場の人のすすめで、街道をゆくを読んでみました。司馬遼太郎の作品は好きですが、このシリーズは初めて。昔、金沢に赴任したときに関係ありそうな巻を読んでみようかと思ったんですが、ちょっとマニアックな気がして、なかなか手が出ませんでした。
とりあえず興味が持続しそうな巻ということで、今回は、出身地に近い「会津・白川」、母校近くの「本郷界隈」、職場に比較的近くの「本所深川、神田」を読んでみました。会津・白川は、司馬遼太郎の思い入れたっぷりなこともあり、とても面白く読めました。一方で、後の2巻は、全体的にあっさりしていて、司馬遼太郎の文章からもパッションが感じられませんでした。特に、本郷の方は、歴史散歩より文学散歩みたいな様相を呈しています。司馬遼太郎夏目漱石森鴎外観が伺えた点は面白いといえば面白いですが、個人的には文学散歩なんて期待してなかった!
以下、各巻ごとのメモ・感想です。

白川・会津のみち、赤坂散歩

判官びいきなのかもしれませんが、司馬遼太郎は、そうとうに会津好きなようです。読めば読むほど、戊辰戦争における会津の不幸に同情し、会津の正義感に感動しました。容保をはじめとした会津藩の義理堅さには目を瞠るものがある一方で、将軍慶喜薩長に対する嫌悪感が湧いてきました。歴史は勝者が書き換えるものですが、容保が持っていた天皇の手紙などは、薩長の正当性に多いに疑義を示すものであり、歴史の教科書などで扱ってもよいのではと思います。
最後まで様々なことを語らずに亡くなった松平容保が唯一恨みを吐露したらしい、「何すれぞ大樹連枝をなげうつ…」という詩が印象的でした。

街道をゆく 33 白河・会津のみち、赤坂散歩 (朝日文庫)

街道をゆく 33 白河・会津のみち、赤坂散歩 (朝日文庫)

本郷界隈

江戸の終わりは、本郷の「かねまつ」だと江戸期には言われていたそうです。母校のすぐ近くっぽいですが、私はどこか分かりません。ただ、本郷までが江戸だとすると、相当に江戸は狭かったということですね。
この巻は、夏目漱石の話題が多くあって面白かったです。この巻の締めくくりは、漱石が東大生を描いた「三四郎」。司馬の三四郎の読み方が興味深く、自分ももう一度読みたくなりました。

街道をゆく 37 本郷界隈 (朝日文庫)

街道をゆく 37 本郷界隈 (朝日文庫)

本所深川、神田

下町というのは、東京に10年近く住んでいる現在でも正直よく分からない、曖昧なイメージです。東京という都市は、山の手と下町というわけ方をされることが多いですが、私は下町のほうに住んだことがなく、なんとなく神田、浅草、深川のあたりがそうなのだろうなと思ってました。本所深川や落語の解説を通じて、下町っぽさをなんとなく理解することができましたが、個人的にはあまり面白い内容ではなかったです。ちなみに、この巻の司馬さんは、本所深川を歩いていても、景観が変わりすぎて、江戸風情が感じられないと言って、ちょっとつまらなそうにしてます。
とりあえず、下町気質というものは、材木などを扱う職人、大工たちの気風のよい気質によって作られていったということがわかりました。深川遊女なども、客(=職人)の気質と同様に侠気があって、吉原遊女とは気質が違ったというのも面白かったです。深川遊女は、男名をつけて羽織を着ていたそうですが、気風がよくて侠気があるのがよいと下町気質が大いに反映されたためだそうです。

街道をゆく 36 本所深川散歩、神田界隈 (朝日文庫)

街道をゆく 36 本所深川散歩、神田界隈 (朝日文庫)

今年のGWのまとめ

今年のGWも、あっという間に終わってしまった。休み前は色々出来るような気がするけど、結局やりたいことの半分も終わらないのはいつも通り。とはいえ、それなりに充実した休みではありました。

福島旅行(郡山、三春、会津

三春の滝桜

三春の滝桜がちょうど咲いていたので、観にいってきました。4月半ばにNHKで特集されていたのをみて、今年は絶対みにいこうと決めていました。今年は、例年よりも桜の開花が遅かったため、GW前半の4月29日でも桜はほぼ満開でした。
日本三大桜の名にふさわしく、美しくも堂々たる姿でした。地震のあった去年も、そして今年も変わらず咲き続ける樹齢千年の巨大な桜に元気をもらった気がします。福島の未来のために、少しでも出来ることをしていきたいです。

会津

会津は、桜の散り際で、鶴ヶ城あたりの桜吹雪がキレイでした。鶴ヶ城のあとは、飯盛山に。白虎隊のお墓などがありましたが、一番印象的だったのは、「さざえ堂」。言葉ではうまく説明できないんですが、二重螺旋構造の不思議な建物で、入り口から出口まで一筆書きで通れちゃいます。昔に、こんなの考えたなんて信じがたいです。

ピエール・ガニェールで食事

彼女の誕生祝いでいってきました。フォアグラのソースとメロンのソルベの組み合わせや、真鯛カルパッチョとマンゴーのカクテルなど、一皿、一皿に驚きがありました。キュイジーヌ・モデルヌとは、こーゆうことだったのかって感じです。
他のキュイジーヌ・モデルヌの旗手である、ロブションとアラン・デュカスにも行ってみたくなりました。

読んだ本

わりとライトな本が多かったです。辻静雄のフレンチの本が面白かったです。ガニェールの料理も美味しかったので、フレンチ熱が高まりそうです。

本の感想

本書は、日銀物価研究会がまとめたもので物価とは何かとか、物価の変動メカニズムについてコンパクトにまとめられた本です。発行は1992年とやや古いですが、入門書としては非常によい本だと感じました。上記の問題意識に答えるほどの情報量はありませんが、物価安定の意義や、物価統計の読み方、物価統計間の関係など基礎がきっちり固められたように思います。
今後は、デフレはなぜ悪なのか、なぜ日本は長らくデフレなのか、に問題意識をもう少し絞ってを考えていきたいと思います。
以下、備忘録的に、いくつか気になった点を記しておきます。

物価指数の機能

1.通貨購買力指標としての機能、2.景気動向指標としての機能、3.デフレーター機能の三つが上げられていました。最近では、CPIでは、1の機能も重視されていますが、CGPIなどでは、1以外の、2、3の機能が重視されているように思います。
日銀は、CPIインフレ率1%を目処としていますが、CPIが本当に望ましい指標なのかどうか、僕にはまだ理解できていません。

物価安定の意義

このあたりは、2、3ページの記述にとどまっていたのが残念。よく言われている、所得や資産配分の不公平、不確実性の高まりによる企業や家計活動の抑制があげられていました。前者については、マクロ的にどう影響するのかがよく分かりません。後者については、デフレ安定していれば、不確実性という問題がないように思います。

物価は経済の体温計か?

よく、物価は経済の体温計であると言われます。これは、需給が引き締まれば物価が上昇し、需給が緩めば物価が下がるということをさしています。より理論的には、需給ギャップと物価に相関があるというフィリップスカーブで表現されるわけですが、日本におけるフィリップスカーブのフィットは必ずしもよくないように思います。
本書でも、需給以外の物価変動要因として、コスト要因や輸入物価要因などが挙げられていました。また、最近のニューケインジアンの議論を踏まえれば、期待インフレ率も重要なファクターとなるようです。
こうした要因をキレイに取り入れたフィリップスカーブの推計って、どなたかやっていたりするんでしょうか。。

ヘドニック・アプローチ→快楽的方法?

かなり本筋からは離れますが、面白かったのでメモ。「ヘドニック」はもともと、快楽的という意味だそうです。。これを直訳すると、快楽的方法となってしまい、いかがわしいので、そのまま英語を使っているそうな。ヘドニックといって、ピンとくる人も少なそうなので、明日使えないトリビアです。


次は、本書の著者の一人である内田真人さんの「デフレとインフレ」という本を読んでみたいと思います。

ボストン美術館展に行きたい。

東京国立博物館で開催中の「ボストン美術館 日本美術の至宝」がかなり気になってます。なかなかお目にかかれない名品が多いので、期間中に絶対に観にいこうと思っています。

ボストン美術館には、フェノロサ岡倉天心のコレクションに加えて、ピゲロー・コレクションという質量ともに圧倒的な日本美術が所蔵されています。何年か前にも、このコレクションの一部が日本に来ていた気がするけど、今回の東京国立博物館の展示は、レベルが違います。

見所は多すぎるので、詳しくは展覧会HPを見てほしいのですが、個人的には等伯の龍虎図だけは絶対に観たいです。一昨年に、長谷川等伯展に行って以来、すっかりファンになってしまっています(2010年3月15日の記事)。

そんなこんなで日本美術熱が高まっており、コンビニで、日本美術の特集がされた雑誌をついつい買ってしまいました。なんとこれ一冊で、飛鳥仏から現代美術家松井冬子さんまで駆け抜けてます。コーヒー片手に、さらっと、日本美術の歴史を振り返ることが出来ました。等伯のほか、円山応挙伊藤若冲あたりも気になるところです。

CARTA (カルタ) 2012年陽春号 2012年 04月号 [雑誌]

CARTA (カルタ) 2012年陽春号 2012年 04月号 [雑誌]

椿山荘で食事会

椿山荘で、両親などなどと食事会をしました。ここは、都内で最も好きなホテルです。都会の喧騒から離れつつも、中はいつも賑わっていて、それでいて落ち着きがあり、個人的には理想的なところです。

当日は、ソメイヨシノは一分咲きってところでしたが、他の桜が咲いていたり、椿が残っていたり、相変わらず庭園が素晴らしかったです。ソメイヨシノが満開のときは大変な混雑だそうで、ちょうどよい日だったかもしれません。また、近々泊まりに行きたいと思っています。